パーキンソン病への定電流脳深部刺激(DBS)の効果 [医学一般の話題]

 パーキンソン病患者に対する、定電流デバイス視床脳深部刺激(constant-current deep brain stimulation :DBS)のオープンラベル無作為化比較試験の結果が報告されています。

 168名の患者のうち、136名に定電流デバイスを注入(即時刺激101名、遅延35名)して刺激。患者は5年以上のパーキンソン病既往歴有(18-80歳)し、無作為に刺激または対照群に割付られています(刺激:コントロール比3:1)。

 15臨床現場において、2005年9月26日~2010年8月13日までの期間で実施。

 主要転帰変数は、患者さんの日記に記録されている、3ヶ月間のジスキネジア( the change in on time without bothersome dyskinesia (ie, good quality on time)で評価。つまり、dyskinesia(運動障害の1つ)によって妨げられずに、スムーズに動けた時間変化を患者自身が評価。1年間フォロー。

 良好な時間の増加は、刺激群対コントロールで、4·27 h vs 1·77 h( difference 2·51 [95% CI 0·87—4·16]; p=0·003) と、その差は2·51時間でした。

 “Unified Parkinson's disease rating scale motor scores”では、ベースラインから39%向上しました。

 しかし、136例中5例に感染症(4%)、4件の頭蓋内出血(3%)がDBS注入後に発生しています。重篤な有害事象は、構音障害、疲労感、しびれ(paraesthesias)、浮腫、歩行障害、平衡障害、運動障害(dyskinesia)が両群でみられ、刺激群は、構音障害、疲労、paraesthesias、浮腫と関連していました。

 著者は大幅な改善と記していますが、そうでしょうか。動作がスムーズにできる時間が少し増加した程度です。感染症と脳出血の程度が不明ですが、手術をしてまで行う価値があるとは思えません。脳への手術を必要とするため、「盲検」ができなかったものと思われますが、当然、本人の期待感は大きく影響したものと予想されます。

 効果が一時的なものでなく、漸増的に改善してQOLを高めるのであれば実施する価値も有ると思うのですが。

Michael S Okun, Bruno V Gallo, George Mandybur, et al.
Subthalamic deep brain stimulation with a constant-current device in Parkinson's disease: an open-label randomised controlled trial
The Lancet Neurology, Volume 11, Issue 2, Pages 140 - 149, February 2012 doi:10.1016/S1474-4422(11)70308-8Cite or Link Using DOIPublished Online: 11 January 2012
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