経絡構造 (概略) [経絡とは]

 先ず、鍼灸学における「経絡」を紹介し、その構造についての私の仮説を説明します。
 私はこれまでに、「経絡」についての常識の誤をこのブログで紹介してきました。今後は、「黄帝内経素問・霊枢:経脈篇」の記述を忠実に解釈して構成した、経絡構造の全貌を述べていきます(報告した文献は以前に紹介)。 

経絡の種類
 経絡とは、「正経十二経脈」、「絡脈」、「奇径」を総称したものです。
*正経脈(12種類24本)
 1.手の太陰肺経・2.手の陽明大腸経・3.足の陽明胃経・4.足の太陰脾経・5.手の少陰心経・6.手の太陽小腸経・7.足の太陽膀胱経・8.足の少陰腎経・9.手の厥陰心包経・10.手の少陽三焦経・11.足の少陽胆経・12.足の厥陰肝経
*絡脈(19種類)
 各正経脈の支脈として12種類・手の陽明の大絡・手の少陽の大絡・脾の大絡・少陰の大絡・胃の大絡・奇経では、任脈の絡脈・督脈の絡脈
*奇経八脈(8種類) 
 督脈・任脈・衝脈・帯脈・陽蹻脈・陰蹻脈・陽維脈・陰維脈(本稿では、内経において、脈の走行経路を解釈するうえで十分な記述が認めらる、督脈、任脈、衝脈のみを解釈の対象としています。)

正経十二経脈(経絡のメインルート)
 正経十二経脈は、基本的には主幹的な神経,血管を繋いで構築した概念です。神経は陽経、血管は陰経に分類しています。体腔内では各々が所属する臓腑と、表裏関係にある臓腑に連ねて分布させています。
 経脈の腹部領域の走行は明らかに臓器への神経,血管の分布や貫入を示すものであり、一般的な経絡図が示す様な表面を走行するものではありません(後述)。頭部は、陽経では三叉神経,顔面神経及び後頭神経によって分布し、陰経では顔面動脈より眼動脈(心),顔面静脈(肝,督,任,衝),舌下動脈(脾),舌静脈(腎),咽頭静脈叢より海綿静脈洞(肝),上矢状静脈洞(督)に分布しています。頭部では、特に陰経の走行で経絡図とは大きく異なります。頭部と体幹を結ぶ経路としては、陽経では交感神経幹を主として、迷走神経,横隔神経及び頚神経が使用されています。 陰経では内頚動,静脈及び椎骨静脈を中心に、深頚静脈(督),前頚静脈(任,衝)も使用されています。
 正経脈が体表を走行するものでないことは経脈篇にも明記された事実ですが、同時に、例外についての記述は私の仮説を支持するものです。経脈篇によれば、「経脈十二者.伏行分肉之間.深而不見.其常見者.足太陰過於外踝之上.無所隠故也.」と記述されています。但し、脾経の走行は下腿内側ですので外果上を内果上の誤りと判断します。そうしますと、私の仮説では下腿内側の走行は伏在静脈ですので、正経脈の中で唯一見える領域であり、経脈篇の記述と一致します。 
絡脈(正経脈の支流) 
絡脈は、四肢の範囲では皮静脈・皮神経を結び、貫通静脈の分岐点や、神経が筋膜を貫通して皮下に浅く出る部位を本経からの分岐点(絡脈のスタートポイント)としています。従来の経絡研究では、この事実に気づいて報告したものはありません。しかしながら、原典を忠実に解釈すると、内経の解剖観察の正確さが理解でき、記述の一語までもが重要であることが明らかになります。
 また、絡脈の分布は、陰陽の思想にそぐわない領域への脈の走行を、矛盾無く説明するための方策とも考えられます。脾と腎の絡脈は門脈系の側副血行路であると推測できます。胃の大絡(以前に宗気について説明)は、左胃動脈より食道動脈,気管支動脈を経て肺に至る経路であり、経絡の循環の動力源としての宗気の通路として想定したものです。宗気とは、心窩部に触れる鼓動を心臓の活動ではなく、食物の栄養と空気が結びついて生じた一種のエネルギ-の活動であると想像し発想したものです。
奇経(奇怪な脈、別ルート) 
 督脈は生殖器と腎臓及び腎臓と脳,脊髄を結びつけた経脈と考えられます。内経では腎と生殖器を深く関連ずけていますが、1つの考えとしては、卵巣静脈及び精巣静脈による関連性より発想した可能性があります。さらに言えば、発生初期には永久腎である後腎は中腎から発生しますが、男性生殖器は中腎管から、女性生殖器は中腎傍管より発生します。従いまして、腎臓と生殖器は中腎を同一の起源としており、深く関連しています。発生初期の胎児を観察していたかは不明ですが、可能性は十分にあります。
 脊髄はその位置関係より関連ずけ、脳は脊髄の延長として関連付けられます。胎児と母胎を結ぶ臍動脈によって、母胎と生殖器と腎を結び、臍静脈で下大静脈,内頚静脈,顔面静脈を経由して脳,脊髄を結ぶ循環を発想しています。私の推測が正しければ、導出静脈によって頭蓋の内外の静脈が連絡することを認識し、胎生期の循環についても観察していたことになります。
任脈及び衝脈は基本的には同一の脈ですが、一部で分かれます。下腿内側を腎経と併走する部分は衝脈のみですが、ここは腎経と関連づけたものと思われます。両脈は、内経が十二経の海と見た大静脈であり、督脈と同様に生殖器と関連し、下腹壁静脈と内胸静脈によって体幹前面を経由して陰部と上大静脈を結び循環させています。督脈が動脈によって生殖器に分布するのに対し、任脈,衝脈は静脈を配当して構成しています。

内経中に存在する、体幹部経穴の分布による経絡走行の検証

 私の仮説と従来の経絡図の相違点は体幹領域の走行にあります。体幹における、内経中に実際に出現する経穴は、前面の正経と絡脈では、雲門,天枢(胃経の支脈),気街,大包(脾の大絡),天池,淵腋,帯脈,急脈ですが、何れも経皮的に捉え易い位置にあります。任脈の中極,関元は外陰部静脈と浅腹壁静脈の分枝であり、気海,神闕,下脘,中脘,上脘,鳩尾,檀中は、絡脈も含めた浅腹壁静脈及び上腹壁静脈の分布域に位置します。
 背部では、膀胱経の大杼,肺兪,心兪、膈兪,肝兪,脾兪,腎兪は、何れも、胸神経後枝の分布域にあります。督脈の大椎,長強は、絡脈の後外椎骨静脈叢の分布域です。
これらの26穴は、私が想定した流注経路に分布することが改めて確認できます。その他の、胸・腹部前面および背部の経穴は、内経以後の時代に追加されたものです。
 体幹部の範囲に実際に存在する経穴が、督脈と任脈も含めて、私の仮説と一致したことから、胸,腹部前面浅表を縦に連ねる経絡は(一部の支流を除いて)、奇経も含め存在しないと断定できます。一般的な経絡図では、胸,腹部前面を腎,肝,脾及び胃経が縦に走行しますが、これは、循経感伝現象や治療経験をもとに経穴を便宜的に結んだ概念であり、本来の構造としての経絡本体ではないと考えられます。

各経脈の流注(走行)についての訳文と解釈および解説は、今後上記の経脈の順で述べていきます。

追伸
本記事は、拙著「中医学の誤謬と詭弁:2015年1月出版」にも記されています。本書は、黄帝内経における臓腑経絡概念の本質を解読・検証したものです。市販はしておりませんが、希望される方には、個人的に販売しています。申し込み方法は、カテゴリー「出版のお知らせ」をご覧ください。

Anatomical Study of The Meridian in Daikei Medicine

I thought that The Meridian organization follows theory of “Yin Vessel is a blood vessel and Yang Vessel is a nervous” , which help to explain the existence of meridian points in Daikei.

Many nervous and blood vessels have the continuity of other it by anostomosis and rami communiticantes , which allow Meridian Vessel to pass freely. It has been orgued that “It is the coupled nervous ensemble , and not the single nervous , that is the functional compartment unit for the Daikei Medicine”.

To test this idea, I deciphered of The Meridian, which have been maked mention of a chapter of Meridian in Leisu. The decipherment was able to reproduce of all the Meridian. Among the 230 meridian points which existed ,100 percent coincided .

These results would indicate that a blood vessel and a nervous is considered as a substunce of The Meridian. These findings, which have been confirmed my hypothesis, indicate that origine of Main Meridian differ from global importance. Many exciting theories of Meridian are studied exclusively of the Meridian Vessel in its present form.

In adition, in spite of primitive anatomy,the image of Daikei Medicine as completness has persisted over the years.In large part this can be attributed to a modern preconception. That view is now being challenged.

What practical value ,if any, do my hypothesis have? There is little reason to doubt that insights gained from studying the interactions of multineuronal circuits will enhance understanding of all forms of Phenomenon of Meridian.



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