僧帽筋の炎症と浮腫が緊張型頭痛および片頭痛に関連すると報告 [医学一般の話題]

研究結果から、一次性頭痛の病態生理学における首の筋肉の役割が裏付けられたとし、首の筋肉をターゲットにした治療は、頭痛だけでなく首の痛みも同時に軽減できる可能性があると述べられている。

これは、ドイツのウルム大学病院の Nico Sollmann 医師による、北米放射線学会の年次総会でのプレゼンテーションにおける報告。

しかし。

今頃、この様なことに気づいたのだろうか。一般的な頭痛の場合、鍼治療によって容易に即効的に消失する。通常はC2レベル付近の筋緊張を緩和させるが、頭痛が側頭部や目の周囲の場合には、乳様突起直下(詳細は営業秘密)へ深く刺して患部へ響かせると数分で消失する。「ズキズキと痛む」血管性の痛みであれば、頚の前方、胸鎖乳突筋の内側の硬結を緩めることで数分で軽快する。

訴えが多い患者や認知症など、脳に何らかの問題がある患者では、僧帽筋の附着部周辺に異様な浮腫や斑点状の赤い充血が見られ、患者によっては堅く膨張している。これらの異常も刺鍼することで軽減し、頭痛も緩和される。いずれも容易いことである。

医師には鍼治療の経験は無く、その有益性が理解できないことはやむを得ないことだが。


研究チームは予備研究に50人を登録した。 参加者の年齢は20歳から31歳までで、82%が女性。合計32% が緊張型頭痛、24% が緊張型と片頭痛の混合型頭痛、および44% が頭痛のない対照者。

1か月あたりの平均頭痛日数は、対照群と比較して頭痛群の方が有意に長く、それぞれ10.1日、10.3日、1.9日でした。 首の痛みも頭痛群で顕著に多くみられ、緊張型頭痛単独群では63%、混合型頭痛群では83%だったのに対し、健康な対照群では0。

緊張型頭痛と片頭痛の混合型頭痛を持つ患者は、筋肉の T2MRI値が最も高く (右側と左側で 31.4 ミリ秒)、平均値は緊張型頭痛のみの患者 (30.8 ~ 30.9 ミリ秒) および健康な対照と比較して有意に高かった。 (30.0 ~ 30.2 ミリ秒; 各比較で P<0.001)

僧帽筋の T2 信号が高いほど、頭痛の日数が長くなり (β 係数 = 2.04、95% CI 0.05 ~
4.03、P = 0.04)、首の痛みの可能性が 2 倍となった (OR 2.26、95% CI 1.04 ~ 4.90、P =0.04)。

定量化された首の筋肉の炎症性変化は、頭痛を抱えた日数や主観的に認識される首の痛みの有無と有意に相関しており、これらの変化により、健康な人と一次性頭痛に苦しむ患者を区別できるようになると述べられている。

但し、著者も指摘しているように、脳と身体の間には相互関係があるため、この予備データに見られる関連性は、首の筋肉が頭痛の一因である可能性もあればその逆の可能性もあることに留意する必要がある。

米国の成人3人に2人が緊張型頭痛に悩まされており、片頭痛は3,700万人ものアメリカ人に影響を与えていると指摘している。これらの頭痛は通常、ストレスや筋肉の緊張に関連しているが、その正確な原因は完全には不明と記されている。

現段階では診断研究であり、健康な被験者の緊張型頭痛と片頭痛を区別するために、画像に基づいた客観的なバイオマーカーを確立しようとしている。また、治療の方向性として、首の筋肉に磁気刺激を与えることを予定しているとのことで、首レベルと脳レベルの両方で痛みを軽減する効果的な治療法となる可能性があると述べているが、無意味だと思う。

出典文献
Common Headaches May Be Pains in the Neck
— Imaging links inflammation to migraine and tension headaches
by Ed Susman, Contributing Writer, MedPage Today November 29, 2023

Primary Source
Radiological Society of North America
Sollmann N, et al "Neck pain and headache frequency are associated with trapezius muscle T2 from MRI in young adults with tension-type headache" RSNA 2023.