モディック変化を有する腰痛患者はその後の障害や病欠が有意に少ない [腰痛関連]

これまでの研究では、モディックの変化(MC)およびディスク変性と腰痛(LBP)の関連性について相反する結果が示されていた。また、MCを有する患者の長期的予後は不明であった。しかし、13年間のフォローアップを伴う比較コホート研究の結果、むしろ、長期的には障害や病欠が有意に少ないことが判明した。

毎日LBPを有する18~60歳の患者を無作為化対照試験に登録(2004年~2005年)し、腰部磁気共鳴画像(MRI)を実施。患者は、ベースライン時のLBPおよび下肢痛の数値評価尺度(0-10)、ローランド・モリス障害アンケート(RMDQ)、LBP評価尺度(RS、0-30)を評価。LBPの炎症性疼痛パターンおよび病欠日をフォローし13年後に調査は完了した。患者はMRI上のMCの存在(+MC)または不在(−MC)に基づいて階層化された。

ベースラインの204症例のうち、170例(83%)がフォローアップ完了した。+MC67例 (39%)、-MC103例 (61%)。喫煙状況、BMI、抗生物質の使用、LBP、下肢痛、および炎症性疼痛パターンスコアはベースラインおよび13年のフォローアップで2つのグループ間で類似していた。

最終フォローアップで、平均RMQDスコアは+MC群(7.4)が-MC群(9.6、P=0.024)と比較して統計的に有意に優れていた。13 年の LBP スコアは、+MC 群 (4.2) 、-MC 群4.8で、+MC群で低いが統計的には有意差は無し(P = 0.104)。 LP は+MC および -MC グループでそれぞれ 2.6 対 3.4 (P = 0.097)と、+MC群で低いが統計的には有意差無し。RSスコアは、-MC群(10.64、P= 0.013)と比較して+MC群(8.32)で統計的に有意に低かった。

また、+MC グループではLBP による病欠日数が9.0 d 対 22.9 d(P = 0.003)と、著しく少ない結果となった。2つの群間の脊椎手術率に統計的に有意な差はなかった(+MC群10%、-MC群11%、P=0.584)。MCの存在は、13年間のRMDQの変動性のわずか16%しか占めないこと、およびその他の重要な関連性も認められなかった。

LBPは、人の一生の間に人口の60%から70%に影響を与えます。また、多くの医療および福祉費用を伴う疾患であり、イギリスにおいて、すべての長期療養費の15%と障害年金の10%を構成している。

モディック変化(MC)は、脊椎エンドプレートにおけるMRIによる信号変化である。それらは、初期炎症(MC-1)から脂肪変性(MC-2)に続いて、最終的にエンドプレートおよび椎体の石灰化(MC-3)を引き起こすと考えられているが、結果はまだ矛盾している。

本研究では、MCは、長期的な痛み、障害、および病気休暇への関連性は否定され、むしろ、MCを有するLBP患者は、長期のフォローアップで障害や病欠が有意に少ないことが明らかになった。

個人的な想像を述べると、MC変化は自己防衛反応の一端として捉えた方が良いのでは。さらに、ベースラインでMCの有無で症状に差がなかったことから、その存在の臨床的な意味すら疑わしい。腰痛の原因は分からない。

出典文献
Modic Changes Are Not Associated With Long-term Pain and Disability
A Cohort Study With 13-year Follow-up
Udby, Peter Muhareb , Bendix, Tom, Ohrt-Nissen, Søren et al.,
Spine: September 1, 2019 - Volume 44 - Issue 17 - p 1186-1192
doi: 10.1097/BRS.0000000000003051

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