関節軟骨肉腫であった膝痛の症例 [症例参照]

外傷が無く、膝に痛みを発症した47歳の男性。痛みのために、歩行、立ち上がり、および階段昇降が困難。膝に軽度の腫脹と進展制限(extension lag15°)。疼痛強度の評価尺度得点は 8 (range, 0 [best] to 10 [worst])、 Lysholm 膝尺度の得点が 55 ポイント(range, 0 [worst] to 100 [best])。

当然ながら、The McMurray test、the Lachman test、 pivot-shift test、 anterior and posterior drawer tests、 varus and valgus stress tests は何れも陰性であり、各種の靱帯損傷は検出されず。

レントゲンでは異常無し。.磁気共鳴画像 (MRI) では、前十字靭帯 (ACL)に腫脹が見られ、ACL内側に、T1 強調画像で低輝度信号(Fig. 1-A)、 T2 強調画像で高輝度信号 (Fig. 1-B)を検出。

症状は 3 カ月以上持続し、理学療法では改善しなかったため関節鏡検査を施行し、関節軟骨肉腫と診断。病理組織診断では、滑膜骨(Fig.-2A,2-B)。後十字靱帯 (PCL)、半月板や軟骨は正常。

18 ヶ月のフォロー アップで、痛みは評価スコアで1、不安定性は無く、膝関節はfull range可、 Lysholm 膝スケール スコアは 95 ポイントに改善。

一鍼灸師では、MRIも関節鏡も不可能ですから、診察によって、原因に結びつけられるような異常所見は発見できないはずです。痛みが強いにも関わらず、関節炎のような腫脹は認められず、外傷の既往も無く、当然、半月板、側副靱帯や前後十字靱帯などの異常所見は認められない。外傷の既往があれば、原因としてchondromatosis(関節鼠)も考えられるのですが。

唯一の所見は、膝関節が完全に伸びないことくらいですか。強い痛みを引き起こすような、何らかの器質的疾患が関節内に潜んでいることは推測できます。何れにせよ、鍼灸も含めて、保存的治療が適応でないことは明らかです。

出典
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Back to Quizzes Library, July 2, 2014
J Bone Joint Surg

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