出生年における特定アレルゲンへの曝露が喘鳴リスクを減少させると報告 [医学一般の話題]

人生最初の3年間における、アレルゲンへの累積曝露はアレルギー感作に関連しますが、初年度のハウスダスト試料中(都市部)の、ゴキブリの高レベル、マウス、およびより少ない量の猫のアレルゲンは、3歳における喘鳴発症に強く逆相関したと報告されています。

調査は、ボルチモア、ボストン、ニューヨーク、セントルイスの4都市部における、縦断方向の出生コホート研究(The Urban Environment and Childhood Asthma study; URECA)。

アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、および喘息の母親や父親を持つ、アレルギー疾患のハイリスクの子供を対象にした研究。1850の家族をスクリーニングし、適格基準を満たした560を登録。住宅や環境を調査してハウスダストを収集。妊娠3ヶ月より毎年訪問( 2005年2月~2007年3月)。3歳時点で、環境要因や空気などのアレルゲンへの感作を検査。

ミルク、卵、ピーナッツ、およびチャバネゴキブリに対する、アレルゲン特異的IgEレベルを毎年測定。生後2~3歳で、チリダニ、イヌ、ネコ、マウス、アルテルナリア属に特異的なIgEレベルを測定。皮膚プリックテストは33ヶ月歳で実施。

家庭のダストサンプルは、リビングルーム(椅子やソファーや床)と、子供の寝室(マットレスや床)から採取。

空気アレルゲン感作は、皮膚プリックテストで、生理食塩水コントロールによって誘発されるよりも3mmメートル以上大きい膨疹、または、0.35 KU / L以上の特異的IgEレベルと定義。再発性喘鳴は、親のレポートによる少なくとも2エピソードと3年目で発生する1喘鳴エピソードと定義。湿疹は、年齢3歳で湿疹面積1.0以上のスコアと重症度Index14にて定義。喘息のリスクが高い子供たちは、修正された喘息予測(the modified Asthma Predictive)Index.15を使用して同定。

アレルゲン感作のオッズ比(3年累積曝露)
・ネコ(n=362):補正オッズ比(OR) 1.93 (1.09-3.44)Pvalue 0.04
・イヌ(n=359) :2.22 (1.14-4.34) 0.02
・ゴキブリ(n=359):1.74 (0.94-3.21) 0.08
・マウス(n=366):1.74 (1.01-2.97) 0.04
・コナヒョウダニ(n= 364):2.40 (1.22-4.72) 0.01

アレルゲン感作のオッズ比(出生後1年曝露)
・ネコ:OR,0.71(0.58-0.88)P=0.001
・イヌ:OR,1.00(0.79-1.28) P=0.98
・ゴキブリ:OR,0.59(0.44-0.80)P=<0.001
・マウス:OR,0.65(0.51-0.82)P=<0.001
・コナヒョウダニ:OR,0.92(0.73-1.15)P=0.45

3年累積曝露では、リスクは何れも2倍前後でしたが、出生の年の曝露による3年後のリスクは、ネコで29%、ゴキブリ41%、マウス35%の減少でした。イヌとダニでは変化は認められませんでした。

つまり、人生の最初の数ヶ月間は、幼年期におけるアレルギー疾患の発症に重要な期間であり、ハウスダスト中のアレルゲンレベルが大きく影響することが示唆されました。また、都市部の環境では家庭害虫が善玉菌の原因となり、特に、マウスやゴキブリが関連しています。

これらの知見は、人生の早い段階における、高レベルの特定アレルゲンやバクテリアの曝露が、喘鳴やアレルギー疾患のリスクが高い子供に対する新しい予防戦略となる可能性を示唆しています。

出典文献
Lynch SV, et al.
Effects of early life exposure to allergens and bacteria on recurrent wheeze and atopy in urban children
J Allerg Clin Immun 2014; DOI: 10.1016/j.jaci.2014.04.018.

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