Toll様受容体が脳虚血再灌流障害に重要な役割を果たす [免疫・炎症]

Toll様受容体(Toll-like receptor ; TLR)は、自然免疫においてウイルス・細菌の構成成分を認識してタイプI インターフェロン(IFN)や炎症性サイトカンの産生を誘導し、樹状細胞の成熟化を介してリンパ球に感染防御のシグナルを伝達するレセプターで、ヒトでは11種類ほどが見つかっています。

脳虚血再灌流障害において、虚血性ニューロンから放出される内因性リガンドがTLRシグナル伝達経路を活性化し、炎症性サイトカインの大量産生をもたらすことで脳虚血後の二次炎症による損傷を引き起こします。

主に、TLR4 / NF-κBシグナル伝達経路の阻害、およびインターフェロン調節因子依存性シグナルの強化によって、脳の虚血性損傷を減らすことができると示されています。

自然免疫系は、昔は非特異的な応答であると考えられていましたが、TLRの発見によってこの概念は一蹴されました。TLRは細菌やウイルスに存在する特有の分子パターンに結合し、様々な病原を特異的に感知しうる受容体ファミリーです。TLRは貪食細胞やリンパ球を含む免疫細胞や様々な体細胞にも発現しており、細胞性免疫と液性免疫に作用して獲得免疫系も制御しています。

しかし、免疫系が暴走することで、様々な病態の重症化に関与しています。

出典文献
Wei Duan , Qing-Wu Yang, et al.,
Function and mechanism of toll-like receptors in cerebral ischemic tolerance: from preconditioning to treatment
Journal of Neuroinflammation 2015, 12:80 doi:10.1186/s12974-015-0301-0
Published: 28 April 2015
The electronic version of this article is the complete one and can be found online at: http://www.jneuroinflammation.com/content/12/1/80


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