高齢者5年間の指導付き高強度トレーニングで死亡率減少せず [医学・医療への疑問]

高齢者に対する、指導者付の高強度トレーニングが死亡率を減少させると思い込んでの研究のようだが、期待は外れた。

ピーク時心拍数の約90%(HIIT、n =400)と、ピーク心拍数の約70%で中程度の強度連続トレーニング(MICT、n=387)を介入群、身体活動に関する国家ガイドライン(n=780;制御群)に従う高強度インターバルトレーニングの週2回のセッションを対照群として、5年間実施された無作為化無作為化比較試験の結果、有意差は認められなかった。

1567人の参加者(女性790人)の平均年齢は72.8歳(SD 2.1)。参加者の87.5%が健康であったと報告され、80%がベースラインで高い身体活動レベルが報告されている。

どうやら、元気な老人に、指導者が付いて強いトレーニングをやらせたらもっと元気になるだろうと考えたようだ。

若干の効果として、MICTとHIITを別々に分析し、対照群を基準に(観測死亡率4.7%)を用いた場合、HIIT後の絶対リスク低下率は1.7ポイント(ハザード比0.63、95%信頼区間0.33~1.20)、MICT後の絶対リスクは1.2ポイント(1.24、0.73~2.10)。HIITを基準群としてMICTと比較した場合、全ての原因死亡に対して絶対リスクは2.9ポイント(0.51,0.25~1.02)減少したとしている。

しかし、この研究の大きな問題点は、対照群の参加者も研究全体を通じて高レベルの活動を行い、多くはHIITと同等の運動を行ったこと、逆に、HIITグループの50%だけがHIITプロトコルを満たす厳格な基準に従ったこと、さらに、参加者が一般的高齢者に比べて健康で活動的であったことにより、選択バイアスが働いていること。

当初から、元気な老人を対象としていることや、3群間に分類したはずがないようが入り乱れている。結果に意味を感じられない。そもそも、研究として成り立つのだろうか。

出典文献
Effect of exercise training for five years on all cause mortality in older adults—the Generation 100 study: randomised controlled trial
Dorthe Stensvold, Hallgeir Viken, Sigurd L Steinshamn, et al,
BMJ 2020; 371 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m3485 (Published 07 October 2020)
Cite this as: BMJ 2020;371:m3485

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