「絞扼性神経障害の鍼治療」および「附着部障害の鍼治療」を購入された方へ [掲示板]

          
「絞扼性神経障害の鍼治療」、および「附着部障害の鍼治療」の中の記述について、「刺法」の一部変更をお知らせいたします。

これらの書籍はオンデマンド印刷にて随時増刷しておりますが、その際に、ミスプリントや変更したい箇所など、部分的な修正を行っています。

この度増刷する、「絞扼性神経障害の鍼治療」、および近い将来に増刷予定の「附着部障害の鍼治療」の内容を若干ですが変更しております。変更はわずかですが、基本的刺法ですので、以前に購読された方のためにお伝えします。

「治療法の総論」の中で、筋の緊張緩和への刺法としては「散鍼」を原則とすると記していますが、現時点では寧ろ留鍼し、途中で何度か「搓捻」、および「堤・插」操作を加えています。この刺激は、附着部障害における附着部(enthesis)へのEt鍼、および絞扼性神経障害の鍼治療における絞扼点(entrapment point)に対する、“emancipation method”においても共通点があります。尚、これらの刺法によって、現在までに局所の炎症が悪化したことはありません。      

出版後も多くの知見が報告されており、新たな情報や疾患の追加など、何れ、改訂版の出版も必要になろうかと思われます。また、その他の疾患についてもまとめたいと考えています。しかしながら、一開業鍼灸師にとりましては、未解決の問題も実験的検証は行えず、臨床に頼るしかないため、実現できるかは未定です。 
               
尚、「釈迦に説法」になってしまうかも知れませんが、念のため、前述した、「搓捻」と「堤插」についてご存じ無い方のために簡単に説明いたします。

「搓捻」とは、要するに、留鍼中に鍼を回転させて刺激することです。「搓」は、180°以上の回転を強く加え、「捻」は、45°以内の回転を弱めに加える。これらの手技によってコラーゲン線維の一部を切断することで線維束の異常を回復させる。同時に、回転刺激によって「得気:deqi sensation」を生じさせることを重視しています。

経穴領域におけるコラーゲン線維の形態変化(巻き付きなどの異常)が経穴の構造、および病態に関与し、また、その解除が鍼治療の機序に大きく関与していると報告されています。経穴領域において、例えて言えば、絡み合ったコラーゲン線維の一部を切除して解除することでコラーゲン線維を正常化して病態を改善すると推測されます。

「堤插」の「插」は、鍼を中に進めることで、「堤」とは鍼を外に退くことを意味し、鍼尖を上下に1分程度の範囲で動かす操作。

双方向性の回転刺激の微妙な違いは、マウスの皮下結合組織の細胞応答に影響するようです。また、“堤插操作:Lifting and Thrusting Manipulation”を伴う鍼治療は、操作無しの治療と比べ、エンドトキシンの注射によって誘発された血清IL-1β、TNF-αおよびIL-6のレベル増加を有意に阻害し、抗炎症性サイトカインであるIL-4を上昇させたとも報告されています。

私は、コラーゲン線維への操作とは別に、神経に対する、ダメージを与えない程度の回転刺激は神経機能の回復に寄与するものと推測しています。これらの刺激法の組み合わせは、神経機能の促進や、異常なコラーゲン線維の正常化を促す効果が期待されると考えています。

尚、「絞扼性神経障害の鍼治療」の増刷は、10日ほどで完了します。

追伸
本書は、5月28日に到着しました。
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