COVID-19肺炎患者にヒドロキシクロロキンの効果は認められなかった [薬とサプリメントの問題]

covid-19による肺炎で入院し、酸素を必要とする患者に対するヒドロキシクロロキンの有効性を調査した研究では効果は認められなかった。

対象患者は合計181人。入院後48時間以内にヒドロキシクロロキンを投与された患者84人(治療群)と、非投与(対照群)の89人を比較。治療後21日目に集中治療室に移送されない生存率は、治療群で76%、対照群で75%(weighted hazard ratio 0.9, 95% confidence interval 0.4 to 2.1)。

21日目の全生存期間は、治療群で89%、対照群で91%(1.2, 0.4 to 3.3)。21日目の急性呼吸窮迫症候群のない生存率は、対照群の74%と比較して治療群で69%(1.3, 0.7 to 2.6)。

21日目に、対照群の76%と比較して、治療群の患者の82%が酸素から離脱した(weighted risk ratio 1.1, 95% confidence interval 0.9 to 1.3)。

最初の48時間以内に、ヒドロキシクロロキンを投与された84人の患者のうち、8人(10%)が心電図の変化によって中止された。

ヒドロキシクロロキン(Hydroxychlorquine, HCQ, 商品名;プラケニル)は抗マラリア薬であるが、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス、関節リウマチ、小児リウマチ、および、その他の膠原病にも用いられている。しかし、自己免疫疾患に対する効果の機序は不明であり、QT延長、失神、心停止、突然死といった、重篤な副作用の報告が増加している。前述した調査でも、1割が心機能への副作用で中止となっている。

ヒドロキシクロロキンは、小規模な研究による肯定的な報告もあったことから、一部ではcovid-19の治療薬として注目されていた。しかし、この研究の結果、酸素を必要とするcovid-19の入院患者への効果は無く、使用は推奨されない。

トランプ大統領はこの薬を感染予防として飲んだとか。そもそも、この薬剤の使用目的は、重症化した患者の病態である免疫の暴走、すなわち「サイトカインストーム」を抑制しようとするものである。感染者ですらない健康な人間が感染予防を目的として服用するなどあり得ない行為。何故、周囲が止めなかったのだろうか。しかし、医師の話しでは、彼は元気なようだが、、、。

出典文献
Clinical efficacy of hydroxychloroquine in patients with covid-19 pneumonia who require oxygen: observational comparative study using routine care data
Matthieu Mahévas, Viet-Thi Tran, Mathilde Roumier, Amélie Chabrol, et al.,
BMJ 2020; 369 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m1844 (Published 14 May 2020)
Cite this as: BMJ 2020;369:m1844

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