高齢変性腰椎脊柱側弯症患者の腰痛と骨髄浮腫との関係 [腰痛関連]

MRI上の骨髄浮腫は、高齢者の変性腰部脊柱側弯症における腰痛の存在と密接に関連していたと報告されている。4年前の文献だが、最近、腰痛と骨髄浮腫との関係が気になって検索しているがなかなか見つからない。この報告は広島総合病院の医師らによるもの。

対象となった腰部脊柱側弯症患者120名(65歳以上)で、その中の、腰痛患者64名中 62 名(96.9%)に骨髄浮腫を認めた。一方、非腰痛者では56名中21名(37.5%)であった。

放射線撮影、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、および腰椎の圧痛点検査を行った。MRIでは、冠状断 (coronal)ガドリニウム対照的T1-またはT2強調の脂肪飽和画像によって骨髄浮腫の大きさを評価。

骨髄浮腫は、脊柱側の凸側よりも凹面側に位置する頻度が高い (P 0.001)。腰痛を有する患者の骨髄浮腫スコアは、腰痛の重症度に関連していた (r = 0.724; P < 0.001)。また、腰椎圧痛点の位置は骨髄浮腫の位置に一致していた(κ value = 0.745; P < 0.001)。

退行性腰部脊柱側弯症における腰痛の原因は不明であるが、この調査から、骨髄浮腫が側湾症患者における腰痛だけではなく、もっと広範囲の腰痛のメカニズムに関与しているのではないかと考えている。

また、関節炎や変形性膝関節症(膝OA)では骨髄浮腫が滑膜炎などに先行して生じていることが報告されている。膝OAにおいては、骨髄浮腫の存在が将来の人工関節全置換術に至るリスク因子であると報告されており(当ブログで紹介)、さらに多くの病態に関与している可能性も考えられる。

コラーゲン誘発関節炎マウス(CIA)モデルを用いた、骨髄浮腫(BME)、滑膜炎、骨浸食との関係を縦方向に調査した報告もあるが、長くなるので、この件は別の稿で紹介したい。

出典文献
Bone Marrow Edema and Low Back Pain in Elderly Degenerative Lumbar Scoliosis: A Cross-Sectional Study.
Nakamae T1, Yamada K, Shimbo T, Kanazawa T, Okuda T, et al.,
Spine (Phila Pa 1976). 2016 May;41(10):885-92. doi: 10.1097/BRS.0000000000001315.

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。